楕円の恋。
『試合残念だったね。相手強かったもん』

圭子ちゃんがチョコレートケーキをフォークで切る。

私達3人は試合会場を出た後、この前の試合の後にも行ったカフェでお茶することにした。

後半戦はもう一方的な試合展開であった。

でも、私は目をそらしてはいけないと思い。一生懸命応援した。

結局、試合は0-31で負けてしまった。

惜しいところまではいくのだか、最後のところで相手に防がれてしまっていた。

『影山君。泣いていたね』

あかりちゃんが少しうつむいて言った。

試合終了の笛と同時に影山君は地面にひざまづき、右手で地面を叩き、その場に伏せた。

観客席の前に整列した時、

選手全員が泣いていた。

その時、影山君は手で顔を覆っていたが、肩が震えていたので泣いているのがわかった。

私はその光景を見て思わず号泣してしまった。

涙が止まらなかった。

圭子ちゃんもあかりちゃんも目から涙が溢れていた。

その場にいた全員が涙を流していたと思う。

『しんみりするのはおしまい!決勝まで行ったのがすごいよ!応援に来れてよかった!もっとラグビーが好きになった!』

私はチーズケーキを口に頬張って笑顔で言った。

『影山君もでしょ?』

『うん!』

圭子ちゃんの問いかけに私は素直に答えた。

あかりちゃんもニコニコしている。
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