そのキスで、忘れさせて
逃げなきゃ!
遥希が来る!
あたしはもう、遥希に会いたくない!
部屋着からワンピースに着替え、コートを羽織る。
バッグに携帯と財布を詰め込んだ。
そして、ブーツを履く。
扉を開けると、なんと外は雨が降っていて。
慌てて傘を出した。
そのまま、家の外に飛び出そうとした時ま……
「何やってんだ」
低くて荒々しい声がした。
ビクッ!
思わず飛び上がる。
そして、心臓も飛び上がった。
なんでもういるの?
メッセージを送って、十分も経っていないはずだ。