そのキスで、忘れさせて
しーん……
沈黙が訪れる。
あたしは、びしょ濡れの、びっくりするほどカッコイイ遥希を睨んで突っ立っていた。
胸はやっぱりドキドキする。
だけど、遥希がいつもの遥希だから、何だか安心してしまった。
そんなあたしたちの立っている場所へ、
コツコツコツ……
マンションの住人が近付いてくる。
そして、遥希を見て叫びそうになった。
慌てたあたしは、濡れた遥希のシャツを掴み、
「とっ……取りあえず来て!」
大慌てで部屋に入った。
一瞬忘れてた、遥希が有名人だってことを!