そのキスで、忘れさせて
どのくらい唇を合わせ、甘く優しく貪っていたのだろう。
ぼんやりする頭の中は、遥希でいっぱいになっていた。
好きだ。
やっぱり遥希が好きなんだ。
遥希はゆっくり唇を離し、あたしを見つめる。
遥希はやっぱりかっこよくて。
その上こんな優しげな表情、テレビなんかで見たことがなくて。
愛しいが溢れてくる。
条件反射のように、どくんと鳴る胸。
身体が熱を持っている。
「……いいか?」
遥希は静かに聞く。
「お前を抱きたくて、仕方がない」