そのキスで、忘れさせて
そんな甘い時間の中、
ピリリリ……
携帯の音が聞こえる。
はっと我に返り、身体を起こそうとするあたしを遥希が羽交い締めにする。
体に電流が走り、甘く麻痺する。
「……ふぅッ……」
変な声が出て、思わず口を塞いだ。
その間にも、携帯は鳴り続けていて……
仕方なく、遥希は携帯を取り上げた。
「はい」
超不機嫌で電話に出る遥希。
その顔は、怒りで般若のように歪んでいる。
さっきまでの優しい遥希は何だったのか。