そのキスで、忘れさせて
そして、
「……はぁ?
ふざけんな、チンカス!」
般若の遥希は携帯に向かって叫び出す。
「俺、服濡れてねぇんだよ!
どこも行けねぇよ!!」
あたしはこんな遥希を、苦笑いして見ることしか出来ない。
「……分かった。
じゃ、三分以内に迎えに来い。
それとてめぇの服、俺に貸せ」
そう言って、ぶちっと携帯を切った。
遥希は完全にモードが切り替わってしまったらしく。
チンカスがどうとか、うぜぇとか文句を言って立ち上がる。
そのお怒りモードのまま、あたしに言った。