そのキスで、忘れさせて
だけど、
「時間っつーものは、作るものだ」
遥希は訳の分からないことを言う。
「お前は放っておいたら、色々自己解決して俺から離れていくから」
「……そうかもしれない」
遥希にそう返していた。
ドラマの件も、自己解決しようとしていた。
そして、誠のことも。
遥希に黙って誠に荷物を返すつもりでいたけど、そんなことを言われると黙っていられなくて。
「今日、誠に荷物を返す」
遥希に伝える。
電話の向こうで、遥希は黙っていた。
そんな遥希に付け加えた。
「遥希は来なくていいから!
荷物、返すだけだから!」