そのキスで、忘れさせて
ピーンポーン……
チャイムが鳴り、扉を開けると誠が立っていた。
遥希よりも背が低く、中肉中背。
そんな誠はピシッとスーツを着ていて、素敵な会社員だ。
こんな誠と結婚したら、平凡で幸せな家族が築けたに違いない。
誠はその優しい顔を心配そうに歪ませてあたしを見た。
そんな誠に笑顔を向ける。
「美咲、ごめ……
「誠、ありがとう」
あたしは誠に告げる。
「誠と付き合えて、あたしは幸せだった」
今は心からそう思った。