そのキスで、忘れさせて







去って行く誠の車を見送って、マンションに戻ろうとした時……





「あいつ……ナメやがって」




低い声が聞こえたかと思ったら、後ろからぎゅっと体を抱きしめられた。




誠よりも痩せていて、誠よりも筋肉質。

ゆっくりと脈打っていた鼓動が、一気に速く激しくなる。




「遥希……」




愛しいその名前を呼ぶ。




「遥希、来てたん……




ぐるっと身体を回され、おもむろに唇を塞がれる。

そして、甘く、激しく貪られる。

身体を電流が走り、頭が甘くぼんやりと痺れる。

甘い吐息が漏れ、また唇を塞がれる。





あぁ……

やっぱり遥希が好き。

遥希じゃなきゃ駄目なんだ。



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