そのキスで、忘れさせて





走り去る優子を呆然と見るあたし。

そして、やっとのことで言葉を吐く。




「……いいの?」



「いいんじゃね?」




遥希はそう言って、そのよれたジャケットを脱ぐ。

白いシャツ姿になった遥希は、そのシャツの上から立派な身体がうっすら見えて、思わず顔を背けた。




「お前を心配させたくねぇ」




言葉は乱暴だけど、すごくすごく甘い。

一気に身体に火が灯るあたしの手を、遥希はぎゅっと握った。





「俺の家、来い」




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