そのキスで、忘れさせて






エレベーターは高速でマンションを駆け抜け、あたしは遥希の部屋の前に立つ。

遥希は振り返ってあたしを見て、優しく笑う。

マスクを外したその顔は、幻想的な光に照らされて色気すらある。

そして、反則だ、そんな顔で笑うなんて。

その笑顔が胸から離れない。






遥希はあたしを部屋に入れ……





「わぁ……」




暗い部屋の中、思わず声を上げた。






目の前には東京の夜景がきらきらと輝いていた。

まるで宝石のように。

こんな綺麗な景色、見たこともない。





景色に見惚れていると、後ろから優しく抱きしめられた。

振り返ると唇を塞がれる。

そして、甘い甘いキスを交わす。



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