そのキスで、忘れさせて
「ねぇ、美咲?」
会社で泉に話しかけられた。
あたしはデスクに座ったまま、泉を見上げる。
すると、
「どうしたの美咲。
ニヤついていて」
泉に言われた。
ヤバイ、遥希のことを考えていたんだ。
今日はどんな料理作ろうかな。
なんだか新婚みたいって思って。
こんな脳内バラ色のあたしに美咲は言う。
「誠君と別れたのに、幸せそうだよね?」
「そうなんだよ!実は……」
遥希のことを言わないといけない!
やっと言える!
そう思ったのに、
「由紀先輩の結婚式の余興ね……」
泉は話題を変えてしまう。
そしてその内容に言葉を失った。
「TODAYをやることになったよ。
美咲は遥希ね」