そのキスで、忘れさせて
如月ユイカの存在が、あたしの心を脅かす。
遥希とはもう関係ないと分かっているけど、万が一のことを考えてしまう。
そして、それが誠に浮気された事実と重なる。
あたしは自分の家に帰るのが怖くて、なんとか遥希は潔白だと証明したくて、遥希のマンションへ向かった。
あたしみたいな一般人には手の出ない高級マンションの最上階。
素敵な景色にお洒落な室内。
ここへ連れてこられた人は、すぐに遥希に惚れるんだろうな、なんて思った。
そんな室内に……
やっぱり遥希はいなかった。
こんな時にしか練習出来ないかもしれない。
いや、不安を消すためにはもってこいかもしれない。
あたしは、近くのレンタルショップで借りたDVDを取り出した。