そのキスで、忘れさせて
ー暇?
ハルキからのラインはそれだけ。
あまりにもそっけなくて笑えてしまう。
当てつけのように、
ー暇
とだけ答えてやった。
すると、すぐに既読マークが付き、次の返信が来る。
ー飯でも行くか?
いきなり食事の誘いか。
なんて考えながらふと思った。
ハルキとは、一夜限りの関係、なんてことにはならなかった。
昨日あたしの連絡先を聞いた後、忙しいとか言って去ってしまったのだ。
そんなハルキとは、もちろん付き合っている実感はない。
付き合っていることすら、あたしの思い上がりかもしれない。
ただ、これからご飯を食べに行って、その成り行きで……ということになる可能性も否定出来なくて。
いずれにせよ、誠を忘れるためには新たな恋も必要で。
そのために、ハルキを利用させてもらおうなんて卑怯なことを考えた。