そのキスで、忘れさせて
二次会は自由席だった。
泉とともに座った席の向かいに、新郎側の友人が座る。
どうやら、会社の同僚らしい。
一瞬どきりとしたが、誠の姿はなくて、このまま終わるのだと確信した。
泉は結婚予定の彼氏がいる。
そして、あたしにも遥希がいる。
だから、ここで彼氏を作ろうなんて全く思っていなかったのだが……
「由紀ちゃんの後輩?」
前に座る彼らはそうでもなかった。
「二人とも可愛いねぇ」
アルコールも入り、口説く気満々の空気を感じた。
それでも、あたしがしっかりしていればいい、大丈夫だと言い聞かす。