そのキスで、忘れさせて





男性はなおも続けた。




「責任取るって結婚することにしたらしいけど、まだ美咲のこと忘れられないんだって。

だから……」



「だから……」



「美咲とも関係を続けたいらしい」





開いた口が塞がらない。

こんなあたしに、彼は告げる。





「見た目は好青年なのにな。

そいつ、今日も来てて……」



「先輩たち!やめてください!!」





男性の声に被さって聞こえたのは、今まで嫌という程聞いてきたその声。

あたしの大好きなその声だった。

かつてはその声を聞くたびに、胸をきゅんと言わせていた。






< 226 / 384 >

この作品をシェア

pagetop