そのキスで、忘れさせて
男性はなおも続けた。
「責任取るって結婚することにしたらしいけど、まだ美咲のこと忘れられないんだって。
だから……」
「だから……」
「美咲とも関係を続けたいらしい」
開いた口が塞がらない。
こんなあたしに、彼は告げる。
「見た目は好青年なのにな。
そいつ、今日も来てて……」
「先輩たち!やめてください!!」
男性の声に被さって聞こえたのは、今まで嫌という程聞いてきたその声。
あたしの大好きなその声だった。
かつてはその声を聞くたびに、胸をきゅんと言わせていた。