そのキスで、忘れさせて










アルコールの効いたあたしの足元はふらついて、倒れそうになるのを必死で立て直した。

そして、足早に歩きながら考えた。




結局誠にとってあたしは、都合のいい存在だった。

愛されていると思いながらも、愛されていなかった。

今は、裏切られたことがショックだ。

一度裏切られ、二度目も裏切ろうとしていたなんて!





無性に遥希の声が聞きたくなった。

あたしは携帯を取り出し、遥希に電話をかけていた。

短い呼び出し音が鳴り、遥希が電話に出る。




「遥希?」



大好きな彼を読んだ時、



「美咲」



誠の声が聞こえた。






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