そのキスで、忘れさせて
振り返るあたしの前に、誠がいた。
誠はやっぱりすごく弱々しい顔をしていたけど、その顔すらわざとらしい。
怒りすら覚えた。
「結婚するんでしょ、おめでとう」
誠に言う。
すると、
「そんなことない!
美咲がいいって言うなら、子供を……
「ふざけないで!!」
あたしは声を荒げていた。
子供を……そんなこと、許されるはずがない。
そして、それをいとも平然と言ってしまう誠の神経を疑った。
「自分の子供だよね?
なんでそんなこと、言えるの?」