そのキスで、忘れさせて
遥希は低い声で続けた。
「あいつがお前を離してくれたから良かったものの、襲われていたらどうした?」
「……え?」
「酔っ払うまで酒飲んで、あいつと二人きりになる状況作って。
お前はスキだらけだ」
あたしは俯いた。
遥希に言われて気付いた。
あたしは本当に危なかったということに。
誠が遥希の言葉に折れてくれたから良かったものの、もしあのまま羽交い締めにされていたら……
そんなことを考えるとゾッとした。