そのキスで、忘れさせて
ハルキから指定された場所は、昨日ハルキに出会った国道沿いの、コンビニの横だった。
デートの待ち合わせなら、こんな場所を選ばないだろう。
もっと賑やかで、お洒落な場所。
時計台とか、デパートの前とか。
そんなことを考えると、ハルキの気持ちは本気ではないと悟る。
……そうだよね。
見ず知らずの振られたあたしに、興味本位で声をかけただけだろう。
今日もきっと暇だから、あたしを呼び出してみたんだ。
ハルキにとって、あたしは都合のいい女。
そんなことは百も承知だ。
こんな付き合い、長くは続かないだろう。
そう思って、色気のないセーターにジーンズ、スプリングコートを羽織った。