そのキスで、忘れさせて
あたしは、そんな遥希に聞いてしまった。
「遥希と如月ユイカが付き合ってるって有名だったんだよね?
……いいの?」
「良くねぇよ」
遥希はやっぱり嫌そうな顔で言う。
「事務所が許してくれなかったの?」
しばらくの沈黙。
その沈黙で、泉の言葉が真実だと悟った。
遥希は如月ユイカと好きなままで別れたんだ、事務所のせいで。
そう思うと、過去の話なのに切なくなる。
あたしもこのまま遥希と引き離されたらどうしよう。
誠に振られた時以上にダメージを受けるかもしれない。
それほどまでに、遥希に惚れているんだから。