そのキスで、忘れさせて
そんな愚かなあたしを遥希は睨む。
「じゃあ、お前はどういうつもりで付き合ってるのか?
遊びか?」
「そっ……そんなんじゃない!」
あたしだって真剣だよ。
だけど、まさか遥希の口からそんな言葉が出るとは思っていなかった。
そしてその言葉は、あたしの中のわだかまりを消していく。
「俺が本気じゃないって心配してるのは気付いていた。
だけど、俺は本気だ。
意地でも……お前をもらってやる」
ドキン……
胸がまたまたときめく。
アルコールで麻痺した頭が、さらにぼーっとピンク色になる。
真っ赤な顔で見つめた遥希は、真っ直ぐな瞳であたしを見ている。
かっこよくて、優しくて、誠実な遥希。
そんな遥希の言葉がすごく嬉しい。
どんな宝石よりも輝いて見える。