そのキスで、忘れさせて
あたしたちはフローリングに座り込んだまま、手を重ねていた。
遥希の一言一言が、あたしの胸を狂おしいほど焦がす。
遥希が愛しくて仕方ない。
この温もりを絶対離したくないと思った。
遥希はあたしを見て優しく微笑む。
そしてゆっくり顔近付けたが……
「……酒臭ぇ」
うっと身を引く。
「どれだけ飲んだんだ?」
何も言えない愚かなあたし。
「お前、明日になったら全て忘れてるとかねぇよな?
俺が恥を忍んで話したこと、全てチャラにするつもりじゃねぇよな?」
イライラしたように言う。