そのキスで、忘れさせて
そんな遥希に言っていた。
「ごめん……メモしておくから」
「はぁ!?」
「遥希の話、忘れないようにメモしておくから」
「……喧嘩売ってんのか」
ため息混じりに遥希は言う。
こんな口の悪い遥希が嫌だった。
だけど、今はその俺様口調すら愛しい。
「なんて言ったって、愛情の裏返しだからね」
あたしの言葉に、
「酔っ払いの戯言ばかり言ってんじゃねぇ」
顔を歪める遥希。
その顔は、少し紅潮していて。
「いつまでそのドレス着てるんだ?
なんでそんな座り方してるんだ?
抱かれてぇのか?」
その言葉ではっとする。
あたしはドレスを着たまま床にしゃがみ込んでいて。
捲れ上がった裾からは、無防備な太ももが覗いていた。