そのキスで、忘れさせて
「抱いてもいいよ?」
そう言うあたしに、
「酔っ払いはごめんだ」
遥希はそっぽを向いた。
「早く風呂入って寝ろ!
続きは明日だ」
あたしには分かっている。
遥希はそう言っていたけど、あたしのことを心配してくれているんだと。
心身ともに疲れたあたしに、休めと言ってくれている。
遥希のほうが疲れているだろうに。
「……ほら、足からも血が出てる」
そう言って、慣れないパンプスによって傷ついたあたしの足を、心配そうに見た。