そのキスで、忘れさせて





「仕事行かなくていいの?」




だけど……




「今朝は十時からだろ」




超眠そうに遥希は言う。

……ということは、それまでは一緒にいられるということ?

すごく嬉しい。

それに、こうやって朝ゆっくり過ごせるのは初めてだ。






あたしは改めて遥希を見た。

再び眠そうに目を閉じた遥希。

いつもきちんとしている髪も、何だか逆立っていて。

こんな誰も知らない遥希をずっと見ていたいと思う。






遥希は目を閉じたまま言った。




「腹減った……」



「え?」



「昨日の朝から何も食べてねぇ……」



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