そのキスで、忘れさせて



あっという間に料理は出来上がり、得意げな藤井さんは言う。




「見たか遥希!

俺の包丁さばきはすげぇだろ?

俺の包丁もすげぇよ!!」




ぽかーんとするあたしの横で、



「こいつ……マジで馬鹿だ」



遥希は呟く。

確かに藤井さんは冗談みたいなことばっかり言うんだけど、その華やかな料理はあたしじゃマネ出来ない。

ずらっとダイニングに並んだのは、立派なコース料理だった。

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