そのキスで、忘れさせて






なんだか不穏な空気が漂うスタジオ。

でも、あたしの方がもっと不穏だ。

遥希が如月ユイカといるのを想像して、醜い自分と比べてしまって。

イケメン揃いのこのスタジオから消えてしまいたい。





きっと、すごい顔で四人を見ていたんだろう。




「美咲、気にしなくていい」




隣にいる遥希が静かに言う。




「あいつとは、もう関係ねぇ」





もう、関係ないんでしょ?

昔は好きだった。

そして、好きなまま別れたんだよね?




立ったまま、あたしは震えていた。



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