そのキスで、忘れさせて
如月ユイカは意味深な笑顔でこっちを見る。
なんだか妖艶だった。
女のあたしですらどきりとするような。
そして、その形のいい唇から言葉が漏れる。
「さあ……どうでしょう」
女の勘が働いてしまった。
この人……まだ遥希を狙っているんだと。
これで終わりなら良かった。
あたしはまだ、正気を保てただろう。
だけど……
神様は意地悪だ。
あたしをどん底に堕とすのが、そんなに楽しいのだろうか。