そのキスで、忘れさせて








東京に帰ってきたあたしは、ようやく現実に戻ってきた。




遥希と会った国道沿いの商店街、遥希と待ち合わせたコンビニ、全てが懐かしい思い出のよう。

あの時、遥希なんかに出会わなければ良かった。

そうしたら、こんなに惨めな気持ちを味わうこともなかったのに。

……誠と復縁していたかもしれない。




あれ?

誠のことなんて、最近全然考えていなかった。

あたしの中からいつの間にか、誠が消え去っていることに気付く。

代わりに思い浮かぶのは、遥希のことばかりだった。



< 322 / 384 >

この作品をシェア

pagetop