そのキスで、忘れさせて
東京に帰ってきたあたしは、ようやく現実に戻ってきた。
遥希と会った国道沿いの商店街、遥希と待ち合わせたコンビニ、全てが懐かしい思い出のよう。
あの時、遥希なんかに出会わなければ良かった。
そうしたら、こんなに惨めな気持ちを味わうこともなかったのに。
……誠と復縁していたかもしれない。
あれ?
誠のことなんて、最近全然考えていなかった。
あたしの中からいつの間にか、誠が消え去っていることに気付く。
代わりに思い浮かぶのは、遥希のことばかりだった。