そのキスで、忘れさせて







部屋に入り、扉を閉める。

誠は、



「久しぶりだね、美咲の家」



なんて言いながら、リビングへと入っていく。





誠の荷物が無くなっただけで、あの頃と何も変わっていないリビング。

そのリビングに誠がいるのも、なんだか見慣れた光景だった。

だから、油断していた。




そして、



「彼氏とはうまくいってるの?」



不意に聞かれたその言葉に、何も言えなくなった。






遥希とは……

十日間も音信不通だ。

しかも遥希は、元カノとスキャンダル中。





俯いたあたしに、



「うまくいってないんだ」



図星なことを言う誠。

そんな誠を睨んでいた。




< 325 / 384 >

この作品をシェア

pagetop