そのキスで、忘れさせて






「邪魔するなよ!」




誠は遥希に叫び、立ち上がる。




「美咲には、僕しかいないんだ!

お前なんて……」




その声とともに拳を振り上げて、遥希に飛びかかる。




いけない!

誠を止めないと!!



そう思っても、さっきまでの恐怖で身体が動かなくて。

誠の拳は、遥希の頰を直撃していた。





ゴツン!!



鈍い音が部屋に響いた。

そしてあたしは、思わず悲鳴をあげた。





眼鏡と帽子は吹っ飛んで、頰を押さえてうずくまる遥希に、駆け寄っていた。





あたしのせいだ!

あたしのせいだ!!



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