そのキスで、忘れさせて
それ以上何も言えず、黙り込むあたしに、遥希はさらに続ける。
「そんなんだから、絶対にない。
お互い、二度と好意を持つことはない」
そうなんだ。
事務所のせいで別れたのではなく、浮気が原因だったんだ。
その事実を聞いて、少しだけホッとした。
でも、まだ気になることがある。
それは、
「二人で会ってた」
ということだ。
誠に好き放題されたあたしが、遥希に言える立場でないことは、百も承知だ。
それでも、聞かずにはいられなかった。