そのキスで、忘れさせて
こんな訳で、如月ユイカの問題は解決したように思えた。
世間は遥希と如月ユイカが付き合っていると思っていても、本当は違う。
そう確信を持って言えるだけで、気分が全然違った。
そして遥希は、顔の怪我についてアクロバットに失敗したと公表した。
「殴られたっつったら、おおごとになるからな」
遥希はそんなことを言っていたけど、あたしは誠を許すことが出来なかった。
だけど、
「あの男も、もう美咲には寄って来ねぇだろ」
遥希は言う。
確かに遥希の言う通りだろう。
あたしの彼氏が遥希だったことに加え、遥希に負傷させてしまったから。
「でも、心配だから俺の家に来な」
遥希はやっぱり優しい。
そんな遥希に甘えてしまう。
また遥希の家にいられるんだ、遥希と一緒にいられるんだ、そう思うとすごく嬉しくて。
あたしは遥希に抱きついていた。