そのキスで、忘れさせて
「遥希がいないなら、俺がここにいても仕方ねぇ」
藤井さんは立ち上がり、あたしを見た。
遥希みたいな優しげな顔だった。
その瞳は、あたしを心配してくれているようにも見える。
かける言葉を見つけているのか。
「あの……」
気まずくなって言葉を発した時……
「俺に出来る限りのことはするから」
藤井さんは静かに言った。
そんな藤井さんに聞いていた。
「どうして……
どうして、そんなに遥希を助けてくれるんですか?」