そのキスで、忘れさせて
彼は、玄らしくない優しげな顔で笑う。
「友達だからだ」
「……え?」
「遥希は俺の友達だからだ。
……俺たちのリーダーはすげぇ奴で、いつも俺たちを守ってくれるから。
だから俺も、大切な人を守りたい」
あたしは泣きそうになりながら、藤井さんを見ていた。
藤井さんの声が、胸にじーんと染み渡った。
そんな藤井さんに、深々と頭を下げる。
そして、
「よろしくお願いします」
声に出していた。
藤井さんが何をしてくれるのかは分からない。
だけど、少し心が軽くなった。
遥希は一人じゃない。
藤井さんという仲間がいるんだから!