そのキスで、忘れさせて







扉を開ける。

部屋の中は暗くて、やっぱり遥希はいない様子だった。

落胆とともに扉を閉め、リビングへ向かった……が。





「早かったな」




思わぬ声で、飛び上がりそうになった。

いや、飛び上がったに違いない。

だって、誰もいないはずの広いリビングには、あたしの大好きな遥希がいて。

疲れた顔に笑顔を浮かべてあたしを見ていたから。



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