そのキスで、忘れさせて







「もう、来ねぇかと思った」




遥希の声を聞くだけで、やっぱり遥希が大好きだと実感する。

こんな状況なのに、胸がきゅんとときめく。




「お前はいつも、自己解決して俺から離れていくから」




必死に涙を我慢した。




「だから決めた。

俺はお前を追い続けると」





耳に響く、心地よい低い声。

その声を聞くだけで、あたしの耳は甘く溶けてしまいそう。






遥希は力無く笑った。

泣いてしまうのではないかと思うほどの、弱々しい笑顔だった。




「やっぱり、俺の予想は正しかったな。

お前は俺から離れることを考えていた」



「そっ……そんなんじゃない!」




慌てて答えたが、遥希にはお見通しのようだ。

儚い笑顔のまま、続ける。



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