そのキスで、忘れさせて
ハルキと並んで歩いた。
さりげなく背中に手を回し、身を寄せるように歩くハルキにドキンとした。
ハルキは女慣れしているようだ。
当然だ。初対面のあたしと付き合うのも、何のためらいもなさそうだったから。
「今、何時だったかな……」
そう言って時計を確認するハルキ。
左腕にしていたその時計は、あたしもよく知っている高級時計で、あたしは狼狽えてしまった。
ハルキはお金もあるのか。
チャラくて馬鹿そうなのに。
まさか、女性に貢いでもらったとか?
そう思った時……
あたしの視界に、絶対見たくないようなものが飛び込んできた。