そのキスで、忘れさせて






「このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」




遥希は落ち着いた声で言い、深々と頭を下げる。

そんな遥希を、一斉にフラッシュが捉えた。






再び頭を上げた遥希の顔は、何か決心したような表情で。

その瞳に心を射抜かれてしまいそう。




ドキドキドキドキ……



相変わらず鼓動は速い。

止まってしまいそうなほど。

遥希は画面越しにあたしを見たまま、再び口を開いた。





「交際を報道された一般女性ですが……





少しの間を置いて、彼ははっきりと言った。





「結婚を考えています。

ファン及び関係者の皆様には、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


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