そのキスで、忘れさせて





わなわな震える身体を押さえて、必死に平静を装う。

こんなあたしに、ハルキはとどめの言葉をかけた。




「あいつ、こっち見てたぞ」



「……は?」



「あの、浮気男」





ハルキ、気付いていたんだ。

気付いていて、わざとやったんだ。

確信犯だ、この男。





心臓はまだバクバク音を立てていた。

身体もガクガク震えている。




「意外と純粋なんだな」




そう言ったハルキを思いっきり睨んでやった。



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