そのキスで、忘れさせて









気付いたら、頰を大粒の涙が伝っていた。

そして、ようやく実感した。

あたしと誠は、別々の道を歩み始めたということを。





誠……

今までのあたしの人生は誠のためにあったんだよ?

誠のお嫁さんになることが、あたしの夢だったんだ。

それががらがらと崩れた今は、周りが色を失ったみたいで、ひどく空虚だ。




< 45 / 384 >

この作品をシェア

pagetop