そのキスで、忘れさせて
呆然とするあたしに、
「またな」
悪びれることもなく言い放つハルキ。
そして、疾風のごとく去ってしまった。
あたしは、そんなハルキの背中をずっと見ていた。
ハルキ……
ナルシストで訳わかんない男だけど、いい奴かもしれない。
ハルキを想うあたしの胸は熱く苦しくなる。
本気で惚れるつもりなんてなかったのに。
いや、本気で惚れているはずがない!
だけど、あたしの中で、誠の存在が少しだけ小さくなっていたのは事実だ。