そのキスで、忘れさせて
ハルキと別れ、家に帰った。
文字通り、あっという間の時間だった。
もう少し、ハルキと話がしたいなんて思えるほど。
だけど、ハルキの胸でたくさん泣いて、気分は意外にもスッキリしている。
部屋に入り、誠の荷物から目を逸らし、あたしはテレビをつけた。
徐々に明るくなるテレビから、男性の声が聞こえる。
「こんにちは!
『いきなりTODAY』の時間です」
あたしはぼんやりテレビを眺めた。
明るくなったテレビに映し出されたのは、TODAYの陸。
アッシュの髪をなびかせ、アイドルらしいキラキラ笑顔でこっちを見ている。