そのキスで、忘れさせて
これが運命のいたずらだろうか。
どこの歯車が狂って、こうなってしまったんだろうか。
送信ボタンを押した瞬間……
ピロロロロ……
どこからともなく、着信音が聞こえた。
あたしの画面には、送信済のマークが現れただけで、着信なんてもちろんない。
そして……
「あ。電源切るの忘れてた」
テレビの中の遥希が、ポケットから携帯を出して見ていて……
「ドジだね、遥希は」
にこにこ笑う陸に、
「ごめんごめん。
僕、急いでたからさぁ」
いつものアイドルスマイルで答える遥希。
そのまま少し携帯を触っていて……
ピロロロロ!!
なんと、あたしの携帯が音を立てた。