そのキスで、忘れさせて
しーん……
あたしたちの間に沈黙が舞い降りる。
ハルキは微動だにせず、じっとあたしを見ていて。
その視線はやっぱり居心地が悪い。
この気まずい沈黙を打ち破るために、
「まっ……まさかね!」
自分で答えてしまう。
「ハルキが遥希のはず……」
「それなら話が早い。
……逃げんじゃねぇよ!」
ハルキはあたしの手をぐいっと掴んで歩き出す。
その手が大きくて男らしくて、不覚にもドキドキが速くなる。
そして、朦朧とする頭で必死に考えた。
ハルキは結局、遥希なの?
さっき、しっかり返事をしてくれなかったよね。