そのキスで、忘れさせて






ぽかーんとハルキを見ていた。

電話を切ったハルキは渋々あたしに告げる。





「隆太だよ」




……え?





「チンカスは隆太」



「な……なに言ってんの?」




あたしの声は震えていた。




隆太?

碧と仲良しの隆太って……






「言うなよ、俺がこんなクズで、隆太はチンカスだってこと」





何も言えない。

耳を疑う……

いや、現実を見据えるしかない。

必死で違うと言い聞かせてきたけど、本当は分かっていた。

ハルキはただ者ではないことを。

国民的アイドルTODAYの遥希だってことを。



< 84 / 384 >

この作品をシェア

pagetop