【完】弁当バトル―あなたのために走ります―



 顔にあったタオルを勢いよく投げ捨て、すぐさま立ち上がる。が、視界がぐらりと揺れた。



「うわ……っ」


「オイオイ!」



 見事に立ちくらんだ私は、岬に助けられる。ベンチに顔面強打するところだった。危ない。



「ゆっくり立てよ」


「ごめん……ありがと」



 手を引かれて、やっと真っ直ぐに立つ。
 申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちとが一緒に出る。



 夕方の空のせいか妙に落ち着いた雰囲気が、私を寂しくさせた。



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