【完】弁当バトル―あなたのために走ります―
岬はどんな顔をしているんだろうと覗き込むも、そっぽを向かれてしまった。
「そんなんじゃ心配だし、途中まで一緒に帰るよ」
「そんなんって、なによ」
「お前、転びそうだ」
「転ばな――」
転ばないといいかけた途中、いつもはなんでもない昇降口までの小さな階段に躓く。たった3段なのに。
「ほらな」
また、助けられてしまった。
でも見えてしまった。岬の真っ赤な耳と頬。
夕焼けのせいだけじゃないよね。