【完】弁当バトル―あなたのために走ります―
いつもは黒い髪が茶色くて。
耳や頬まで染まってる。
一瞬、見えた瞳はいつもみたいに意地悪じゃない。
優しい岬にしたのは、夕焼けなのかな。
岬の腕に引かれて昇降口に入る。私が転ぶのを恐れてそうしてるんだと思う。多分、そう。
繋いだ手が大きくて、熱くて、スポーツマンらしくゴツゴツしていて、男の人の手だって思ったら緊張しちゃって。
でも、離れたくないって思ってしまった。
感情が不思議で、よくわからない。
こんなの、初めて……。